[No.8] KAWASAKI ZX-25R(SE) 2021-2022 国内仕様 ★ECUチューニング開発★
はじめに
KAWASAKI ZX-25R(SE)は、最新技術を駆使して設計された「250cc 4シリンダー・エンジン」を搭載し、気になるエンジン軸出力も、驚異の「45馬力」!!!
ライバルの「HONDA CBR250RR 2020」を超える大出力、超高回転までぶん回せるエンジンを装備し、満を持して世にリリースされました。
現行のリッターSSでも標準搭載となっている「クイックシフター(UP / DOWN)」「トラクションコントロール」など、フル電脳なバイクとして、クラス最強を目指します。
それゆえ、エンジン制御の中枢となる「エンジンコントロールユニット(ECU)」もEURO5規格に対応した、最先端のモデルが採用されております。
当初は開発着手が難航しておりましたが、ようやく、ZX-25R乗りに向けて明るいニュースがお届けできそうでしたので、今回は途中経過をお伝えさせていただきたいと思います。
ライバルの「HONDA CBR250RR 2020」を超える大出力、超高回転までぶん回せるエンジンを装備し、満を持して世にリリースされました。
現行のリッターSSでも標準搭載となっている「クイックシフター(UP / DOWN)」「トラクションコントロール」など、フル電脳なバイクとして、クラス最強を目指します。
それゆえ、エンジン制御の中枢となる「エンジンコントロールユニット(ECU)」もEURO5規格に対応した、最先端のモデルが採用されております。
当初は開発着手が難航しておりましたが、ようやく、ZX-25R乗りに向けて明るいニュースがお届けできそうでしたので、今回は途中経過をお伝えさせていただきたいと思います。
開発の経緯
こちらの車両は「電子スロットル・バルブ(以下、「ETV」)」が採用されているため、「パワーモード(FULL / LOW)」や「クイックシフター(DOWN)」などの制御が可能です。
しかし、国内仕様には、最も出力が優れるはずの「FULLモード」に対し、「エンジン回転数(以下、「RPM」)」が13,000rpmを超えたあたりで、ETVが徐々に閉じてしまう出力制御が存在します。
様々な背景により、このような制御が搭載されたものと考えられますが、実際のところ、これだけの公称スペックでありながら、まだパフォーマンス向上の余地が残されているということになります。
もちろん、公道走行においては、すでに十分に満足なパフォーマンスが約束されておりますが、200馬力OVERのスーパーバイクが多く存在する今、超高性能バイクを購入される方にとって、スペックは大変魅力的な指標でありますので、まだパフォーマンス向上の余地が残されているというのは、素直に嬉しく思われる方も多くいらっしゃるものと思われます。
一方で、「サーキット(特に国内レース)」で利用している方にとって、国内仕様のETV制御は大きな課題として立ちはだかり、ライバル勢に立ち向かえず、頭を抱えている問題となっているようです。
「JP250」のレギュレーションでは、参戦が認められつつも、改造範囲が制限されていたり、レース専用ECUが販売されていないこともあり、各サーキットの地方選手権、全日本ロード・レース選手権を見ても、参戦台数が少なくさみしい限りです。
今回の開発の背景には、「インジェクション・セッティング」が基本となるレース・シーンにおいて、このままではレースにならないと相談が多かったことから、開発着手に至りました。
レース界におけるZX-25Rシリーズの更なる活躍を目指し、急ピッチで仕上げてまいります!!
開発の様子
ETV制御の確認(YouTube動画)
今回「i2M Chromeメーター」を用意し、特別な設定を行ってETV制御を可視化し、全容の確認とECUチューニングによって改善を行っていきます。
※詳細は「YouTube」の動画をぜひご覧ください♪
動画でご覧いただいた通り、アクセル・グリップ全開に対して、ETVは13,000rpm以降で徐々に閉じ始め、レブリミッター手前では76%近くになります。
そして、ECUチューニングによる「電子スロットル開度マップ 調整」を実施後は、レブリミッターに到達するまで、ETVが100%から閉じることは一度もありませんでした♪
弊社所有のシャーシダイナモを利用して、ETV制御改善の効果を検証したところ、「純正比で約6%(後輪軸出力:36.0[PS] → 38.3[HP])」のピーク馬力向上を達成することが出来ました!!
「社外吸気ダクト」のみ交換で、他はフルノーマルの車両ですが、ETV全開の「本気仕様」にするだけで、これだけのパフォーマンス向上が得られるとは恐るべし。
ただ、こうなると「燃料マップ調整」や「点火マップ調整」など、他の車両でお馴染みの調整を組み合わせると、どこまでイケるのかが気になりますよねー。特に、中間域あたりのトルク・馬力の凹みが少し気になります。
ということで「純正マフラー」「社外吸気ダクト」と殆どフルノーマルの仕様で煮詰めてみましたが、驚きの結果です♪
※詳細は「YouTube」の動画をぜひご覧ください♪
動画でご覧いただいた通り、アクセル・グリップ全開に対して、ETVは13,000rpm以降で徐々に閉じ始め、レブリミッター手前では76%近くになります。
そして、ECUチューニングによる「電子スロットル開度マップ 調整」を実施後は、レブリミッターに到達するまで、ETVが100%から閉じることは一度もありませんでした♪
弊社所有のシャーシダイナモを利用して、ETV制御改善の効果を検証したところ、「純正比で約6%(後輪軸出力:36.0[PS] → 38.3[HP])」のピーク馬力向上を達成することが出来ました!!
「社外吸気ダクト」のみ交換で、他はフルノーマルの車両ですが、ETV全開の「本気仕様」にするだけで、これだけのパフォーマンス向上が得られるとは恐るべし。
ただ、こうなると「燃料マップ調整」や「点火マップ調整」など、他の車両でお馴染みの調整を組み合わせると、どこまでイケるのかが気になりますよねー。特に、中間域あたりのトルク・馬力の凹みが少し気になります。
ということで「純正マフラー」「社外吸気ダクト」と殆どフルノーマルの仕様で煮詰めてみましたが、驚きの結果です♪
各種マップの調整(最適化)
黄線: ECUチューニング実施後 … 40.8 [HP] (8.2%↑)
橙線: 純正ECU … 37.7 [HP]
[ ト ル ク ]
青線: ECUチューニング実施後
紫線: 純正ECU
※暖機運転終了後、同一条件(水温・気温・湿度・気圧など)下で比較を行いました
[橙線][紫線]がECUチューニング実施前(国内仕様の純正ECU状態)、[黄色線][青線]がECUチューニング実施後の<後輪出力[PS]><トルク>曲線を表しております。
13,000rpm以降が伸びたのはETV全開時でも確認できましたが、ピーク馬力が更に伸び、高回転のトルクが更に太くなりました。そして、低回転から中間にかけてのトルクの谷も改善され、どこからでも気持ちよく加速する特性に変貌を遂げました♪
そういえば、純正ECUのテスト時は低回転(3,000rpm付近)からアクセル全開にしたとき、この領域はETV制限なしですが、何となくパワーがついてこない気がしました。
「国内仕様の純正マフラーの特性?限界?」なのかと少し気にはなっておりましたが、チューニング後は低速からガバっと開けてもピックアップが鋭く、しっかり分厚いトルクが発揮されているのが体感でもはっきり分かりました♪
そのほか、「微開(パーシャル)時」や「アクセルをゆっくり開けた時」も、空燃比が乱れておりましたが、無事解決し、良く使う領域もスムーズで気持ちよく扱えるようになりました♪
マフラーを一切交換しなくても、ここまで特性を変えられるのは予想外でしたね♪ということは、マフラーを交換したら更に...
この車両は、MotoJP最新の「現車セッティング2.0」に対応が可能な車種であり、最新ECUにおけるDジェトロ方式のインジェクション・セッティングを深く理解し、煮詰めております。
特に「EURO5対応の最新ECU」には、実に数十を超える補正制御が働いており、もはやフィードバック制御の理解なしではインジェクション・セッティングは困難になりつつあります。
そのため、マフラー内(集合部)の空燃比を測定し、ただその数値を信じて調整するだけでは足りず、一切のフィードバック制御(補正)・外的要因は排除する必要があります。
MotoJP独自のノウハウにより、すべての「フィードバック制御」「補正係数」を排除(あるいは監視)しながら、ロガー・データからの情報を基に有効な空燃比(AFR)を演算によって算出し、ETV開度・RPMの情報から噴射量を決定する「スピード・スロットル」、吸気圧・RPMの情報から噴射量を決定する「スピード・デンシティー」の2マップをじっくり仕上げました。
もちろん、ベースマップのセッティング後は、キャブレターの「加速ポンプ」に相当する「加速増量マップ」も煮詰め、特に排気量的にシーンが多い「アクセル急開」に対しても、レスポンスに優れる応答性の高いエンジン特性を目指します。
< 結 果 >
[ 後 輪 馬 力]黄線: ECUチューニング実施後 … 40.8 [HP] (8.2%↑)
橙線: 純正ECU … 37.7 [HP]
[ ト ル ク ]
青線: ECUチューニング実施後
紫線: 純正ECU
※暖機運転終了後、同一条件(水温・気温・湿度・気圧など)下で比較を行いました
[橙線][紫線]がECUチューニング実施前(国内仕様の純正ECU状態)、[黄色線][青線]がECUチューニング実施後の<後輪出力[PS]><トルク>曲線を表しております。
13,000rpm以降が伸びたのはETV全開時でも確認できましたが、ピーク馬力が更に伸び、高回転のトルクが更に太くなりました。そして、低回転から中間にかけてのトルクの谷も改善され、どこからでも気持ちよく加速する特性に変貌を遂げました♪
そういえば、純正ECUのテスト時は低回転(3,000rpm付近)からアクセル全開にしたとき、この領域はETV制限なしですが、何となくパワーがついてこない気がしました。
「国内仕様の純正マフラーの特性?限界?」なのかと少し気にはなっておりましたが、チューニング後は低速からガバっと開けてもピックアップが鋭く、しっかり分厚いトルクが発揮されているのが体感でもはっきり分かりました♪
そのほか、「微開(パーシャル)時」や「アクセルをゆっくり開けた時」も、空燃比が乱れておりましたが、無事解決し、良く使う領域もスムーズで気持ちよく扱えるようになりました♪
マフラーを一切交換しなくても、ここまで特性を変えられるのは予想外でしたね♪ということは、マフラーを交換したら更に...
この車両は、MotoJP最新の「現車セッティング2.0」に対応が可能な車種であり、最新ECUにおけるDジェトロ方式のインジェクション・セッティングを深く理解し、煮詰めております。
特に「EURO5対応の最新ECU」には、実に数十を超える補正制御が働いており、もはやフィードバック制御の理解なしではインジェクション・セッティングは困難になりつつあります。
そのため、マフラー内(集合部)の空燃比を測定し、ただその数値を信じて調整するだけでは足りず、一切のフィードバック制御(補正)・外的要因は排除する必要があります。
MotoJP独自のノウハウにより、すべての「フィードバック制御」「補正係数」を排除(あるいは監視)しながら、ロガー・データからの情報を基に有効な空燃比(AFR)を演算によって算出し、ETV開度・RPMの情報から噴射量を決定する「スピード・スロットル」、吸気圧・RPMの情報から噴射量を決定する「スピード・デンシティー」の2マップをじっくり仕上げました。
もちろん、ベースマップのセッティング後は、キャブレターの「加速ポンプ」に相当する「加速増量マップ」も煮詰め、特に排気量的にシーンが多い「アクセル急開」に対しても、レスポンスに優れる応答性の高いエンジン特性を目指します。
今後の予定
上記では「点火マップ 調整」「燃料マップ 調整」「電子スロットル開度マップ 調整」を行った結果、純正マフラーでもお伝えしたようなパフォーマンス向上を確認することが出来ました。気になるエンジン警告灯の点灯も無く、純正装備のクイックシフター・トラクションコントロールなどの電子制御もすべて問題なく利用できることを確認しております。
さらに「ラジエーター冷却ファン作動温度 変更」によって、高回転型エンジンの宿命?とも言える、排熱による水温も緩和され、90℃台にとどまることが多くなりました。
今後は、他の車両で有効性が確認されている「アクセルオフ時燃料カット 調整」を煮詰め、燃料カット制御が原因となる「低速のギクシャク・ドンツキ症状の改善」を目指していきたいと思います。
さらに「クイックシフター(UP)調整(点火リタード量、燃料減量)」「クイックシフター作動電圧(シフトタッチの硬さ)」「シフトセンサー反転(逆シフト化)」「タイヤ外径(前後)調整」「アフターファイヤー 調整」なども現在テストを行っており、プロ・レーサーの方と協力して、サーキット走行でしっかり煮詰めていきたいと思います。
まずは、現在多くの方がお困りのJP250などの国内レース・カテゴリーで参戦中(あるいは参戦を検討されている方)の車両から順次受付を開始させていただき、「ZX-25R(SE) 2021-2022」のポテンシャルを最大限に引き出していきたいと考えております。
現在、サーキット・レース専用(公道走行不可)で利用している車両を対象に、開発中サービスの性能評価ならびに品質向上にご協力いただける「開発モニター(サーキット専用)」を募集しております。
◆令和3年9月30日をもちまして開発モニター(サーキット専用)の募集を終了いたしました。
近日、ツインリンクもてぎでのテスト走行を予定しております。次回はサーキット内での開発の様子やプロライダーによる感想なども掲載させていただく予定ですので、乞うご期待ください♪
さらに「ラジエーター冷却ファン作動温度 変更」によって、高回転型エンジンの宿命?とも言える、排熱による水温も緩和され、90℃台にとどまることが多くなりました。
今後は、他の車両で有効性が確認されている「アクセルオフ時燃料カット 調整」を煮詰め、燃料カット制御が原因となる「低速のギクシャク・ドンツキ症状の改善」を目指していきたいと思います。
さらに「クイックシフター(UP)調整(点火リタード量、燃料減量)」「クイックシフター作動電圧(シフトタッチの硬さ)」「シフトセンサー反転(逆シフト化)」「タイヤ外径(前後)調整」「アフターファイヤー 調整」なども現在テストを行っており、プロ・レーサーの方と協力して、サーキット走行でしっかり煮詰めていきたいと思います。
まずは、現在多くの方がお困りのJP250などの国内レース・カテゴリーで参戦中(あるいは参戦を検討されている方)の車両から順次受付を開始させていただき、「ZX-25R(SE) 2021-2022」のポテンシャルを最大限に引き出していきたいと考えております。
◆令和3年9月30日をもちまして開発モニター(サーキット専用)の募集を終了いたしました。
近日、ツインリンクもてぎでのテスト走行を予定しております。次回はサーキット内での開発の様子やプロライダーによる感想なども掲載させていただく予定ですので、乞うご期待ください♪